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# W27-Builder の個人生産システム

最近、日常の仕事で実際に使っているツールを整理し直した。自分のパソコンでよく使うソフトウェアやツール群を点検して作った一覧で、今は Basic Memory に置き、今後も更新していく。静的なリストではなく、個人の生産システムを作り続ける取り組みだ。

インストールした App を紹介するだけなら、大した意味はない。ツールの一覧はすぐ古くなり、違いも誇張されがちだ。本当に議論する価値があるのは、AI 時代の Builder が自分のワークフローをどう組み立てるかだ。情報はどうシステムへ入り、問題はどう明確になり、タスクはどう分解され、コードはどう作られ検証され、経験はどう次の仕事に残るのか。

かつてツールは、人の周辺機器に近かった。ブラウザは検索、ノートアプリは記録、IDE はコーディング、カレンダーは通知を担う。それぞれに明確な境界があり、人が間を取り持っていた。

今、その構造が変わっている。AI は新しいツールを一つ加えるだけでなく、ツール間の隙間もワークフローの一部にする。人の役割は、コマンドを入力して結果を運ぶことから、継続して動く生産システムを設計することへ移りつつある。

### 入力層

生産システムの最初の層は、AI ではなく入力だ。

多くのアイデアがシステムに入らないのは、重要でないからではなく、記録する手間が大きすぎるからだ。以前は主にキーボードで入力していた。キーボードは正確だが遅い。コード、最終稿、コマンドには適しているが、考えを素早く吐き出すには向かない。

そのため、今は入力を三つに分けている。

第一は正確な入力。コード、コマンド、最終的な言い回しなどは、引き続きキーボードを使う。

第二は音声入力。曖昧なアイデア、会議後の振り返り、まだ構造化されていない要件などだ。パソコンに向かって話す働き方は、シリコンバレーで広まりつつある。もちろんオフィスでは、多少の図太さが要る。豆包入力法は、中国語と英語が混じった発話の認識と、書き言葉への自動整理が特徴だ。私は今 WeType / 微信入力法を使っている。音声機能の改善も速く、最近はほぼ追いついた。まず考えを話し、その後で Agent に圧縮、整理、ノイズの除去を任せる。

第三は手軽な取り込み。スクリーンショット、OCR、翻訳、クリップボード履歴などは HapiGo で扱う。知識ベースでも作業台でもなく、素早い入り口だ。画面上の内容を Agent が使えるテキストにすることに価値がある。

大切なのは特定の入力法や画面キャプチャツールではなく、記録の手間が高すぎてアイデアが消えてしまわないようにするという原則だ。

### 明確化の層

AI で実行が速くなったとき、最も増幅されやすいのは能力よりも、方向の誤りだ。

以前は方向を間違えても、実行コストが高いため、誤りが表面化するまで時間がかかった。今は方向が間違っていても、Agent が見た目の整った成果物を大量にすぐ作り、人はかえって止まりにくくなる。

そこで今は、問題の明確化を独立した層にしている。

日常の主なやり取りには Codex と Claude Code を使う。私にとって二つの中核となる Agent の作業面だ。一方は実装と検証、もう一方は思考、執筆、レビュー、別の視点に比重がある。

問題がまだ曖昧なら、`grill-with-docs` や Superpowers の brainstorming で認識を合わせる。目的は AI に早く作業を始めさせることではなく、問題、制約、目標、許容できない結果を先にはっきりさせることだ。

追跡が必要になったアイデアは Multica に入れる。私にとって Multica は別のチャットボットではなく、AI の作業台だ。issue、agent、runtime、squad を通じて、タスクを割り当て可能で、観察でき、追跡できる仕事へ変える。

この層の価値は「何かしたい」を「取り組む価値があり、境界も明確な問題」へ変えることにある。

### 調査層

Builder は、自分の経験がいつまで有効かを過大評価しがちだ。

ツール、フレームワーク、モデル、製品の形は急速に変わる。半年前に合理的だった技術選択が、今は最適ではないかもしれない。以前は使いにくかった製品も、モデルの能力やワークフローが変わることで、急に使えるものになる可能性がある。

そのため外部の事実、ツールの選択、市場の判断に関わるときは、先に調べる。

軽い調査には、普段のブラウザでもある Dia を主に使う。自動化した検証には Browser / Chrome / Playwright を使う。最近の実際の議論を知りたいときは、`last30days` で GitHub、HN、Reddit、公開ウェブ上の新しい動きを見る。より自由度が高く、多くの資料を総合する問題には、ChatGPT の Deep Research も引き続き良い選択肢だ。

調査が複雑なら、Multica の Market Researcher や Product Architect のような agent に参加してもらう。判断を代行させるためではなく、情報収集と初期の整理を自分の注意から切り離すためだ。

調査層の目的は資料をため込むことではなく、判断を更新することだ。結論が安定して初めて Basic Memory に入れる。

### 計画層

ツールが増えるほど、複数のワークフローが同じ仕事を同時に指揮する問題が起こりやすい。

例えば Compound Engineering には `/ce-plan` と `/ce-work`、Superpowers には writing-plans、TDD、systematic debugging、Multica には issue、agent、squad がある。どれもタスクを組織できるが、同時に主導役にはできない。

私のルールは、一つのタスクに一つの主導フローを選ぶことだ。

中小規模の開発タスクは、通常 Compound Engineering で計画してから実行する。開発上の規律をより重視するときは Superpowers を使う。長期的な追跡、複数の役割の協働、タスク状態の管理が必要なら Multica。明確な修正が一つか二つだけなら、複雑な手順を導入せず Codex や Claude Code に直接任せる。

計画層の価値は、見栄えのよい計画を書くことではなく、手戻りを減らすことだ。AI 時代に最も高くつくのは生成ではなく、目標から逸れた後の修正だ。

### 実行層

私の実行層は、主に Codex、Claude Code、Ghostty、cmux、CodexBar、Multica で構成される。

単独で進めるタスクは、通常 Codex App か Claude Code でそのまま完了する。実際にコードを編集し、テストを走らせ、ページを検証する作業では Codex が中心になる。別の考え方が欲しいとき、案を検討するとき、表現を整理するときは Claude Code を使う。

普段のターミナルの入り口は Ghostty だ。cmux は複数の Agent タスクを並行して進めるのに向く。一つのウィンドウで計画し、別のウィンドウで実装し、別のウィンドウで原因を調べ、さらに別のウィンドウでレビューする。CodexBar は主に利用枠の管理に使う。Codex、Claude Code、Antigravity の利用状況を見て、複数の Agent ツールを並行稼働させるときにコスト感覚を失わないようにする。

Multica の位置づけは少し特別だ。AI をチャット画面ではなくデジタルな同僚として扱うのに向いている。issue を作り、agent や squad に割り当て、状態、コメント、出力を観察する。役割分担、長期的な追跡、人の介入が必要なら、単独の会話より適している。

Recordly は、製品やプロトタイプを外部に見せるためによく使う。録画体験が良く、スマートズームとカーソル追跡に対応し、製品の walkthrough を分かりやすく録画できる。オープンソースで、完全にローカルで動き、無料で、使い心地も優れている。

ただし過剰な編成は避ける。一つの Codex セッションで終わるなら、形式のために cmux や Multica を入れるべきではない。生産システムは複雑なほどよいのではなく、タスクの規模に複雑さを合わせる必要がある。

### 規律の層

AI ツールは生産コストを下げるが、エンジニアリングの品質を自動的に高めるわけではない。

コードが速く生成される一方、リスクも速く生成される。Builder のツール群は、作ることだけでなく、正しさを証明することまで含まなければならない。

そのため TDD、debugging、code review、browser verification を、後始末ではなく日常のツールチェーンに入れている。

バグに出会ったら diagnosing-bugs や systematic debugging を使い、再現、特定、修正の順を求める。テストできる機能は、できるだけ TDD で進める。フロントエンドの仕事では、コードを読むだけで済ませず、必ず実際のブラウザで結果を見る。アーキテクチャにずれが生じたら、domain-modeling、codebase-design、improve-codebase-architecture で境界を見直す。

これらのツールの意味は形式ではなく、AI が生み出す「できたように見える感覚」に抗うことだ。AI は完全な答えの外観を作るのが得意であり、それが本当に成り立つかを確かめるのが開発上の規律だ。

### 記憶層

仕事を終えるたびに、経験がチャット履歴にしか残らないなら、ほぼ蓄積されていないのと同じだ。

今は Basic Memory を個人の長期的な知識ベースとして使っている。raw dump でも、あらゆる資料を放り込む場所でもない。安定した結論、再利用できる手順、繰り返し現れる文脈、振り返りの結論を保存する場所だ。

これは知識管理に対する私の見方の変化でもある。以前のノートは物を保存するものに近かった。今は Agent が使える個人 wiki を維持するものに近い。原資料は不完全でもよいが、再利用する知識は短く、正確で、検索できなければならない。

安定したルールは、記憶だけに置くべきでもない。プロジェクトの今後のすべての仕事に影響するなら、`AGENTS.md` や repo docs に入れる。Memory は経験を担い、プロジェクト文書は制約を担う。

### Builder のツールシステム

これらを合わせると、今の私のワークフローはおおよそ次のようになる。

まず入力層で記録の手間を下げる。音声、スクリーンショット、OCR、クリップボードで、曖昧な情報を処理できる材料へ変える。

次に明確化の層で問題を定義する。Codex、Claude Code、grill-with-docs、Superpowers brainstorming、Multica によって、アイデアを境界の明確なタスクへ変える。

その後で調査と計画に入る。新しい情報が必要なら調べ、タスクの分解が必要なら分解する。主導役は一つだけ選ぶ。

実行では Agent を実際の環境へ入れる。会話にとどめず、コードを書き、コマンドを実行し、ページを見て、文書を直し、issue を立てる。

最後に規律と記憶で締めくくる。テスト、デバッグ、レビュー、検証で結果が成り立つことを確認し、安定した経験を Basic Memory やプロジェクト文書へ残す。

このシステムでは、個々のツールは中核的な参入障壁ではない。Codex、Claude、Multica、Basic Memory、cmux、Recordly、HapiGo は変わり、置き換えられることもある。本当に重要なのは、システム内での位置づけだ。

ツールを積み重ねるだけなら、切り替えの負担が増える。生産システムになれば、細部に足を取られることが減り、判断、取捨選択、検証へ早く進める。

AI 時代の Builder は、単にツールを使える人ではなく、自分の仕事の仕組みを設計できる人なのだと、ますます感じる。

ツールは動作を増幅する。

システムは、その動作を増幅する価値があるかを決める。

### 付録：ツールのリンク

| ツール                   | 用途                                                                     | リンク                                                                                                                                              |
| --------------------- | ---------------------------------------------------------------------- | ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ |
| Basic Memory          | 個人の長期知識ベース / ローカル優先の記憶                                                 | [公式サイト](https://docs.basicmemory.com/) / [GitHub](https://github.com/basicmachines-co/basic-memory)                                              |
| WeType / 微信输入法        | 中国語入力と音声入力                                                             | [公式サイト](https://z.weixin.qq.com/) / [Homebrew](https://formulae.brew.sh/cask/wetype)                                                             |
| 豆包输入法                 | 音声入力 / 中国語・英語の混在入力                                                     | [公式サイト](https://shurufa.doubao.com/) / [macOS ダウンロード](https://shurufa.doubao.com/pc)                                                             |
| HapiGo                | 画面キャプチャ、OCR、翻訳、クリップボード、ランチャー                                           | [公式サイト](https://hapigo.com/) / [Homebrew](https://formulae.brew.sh/cask/hapigo)                                                                  |
| Codex                 | 実装、コード修正、検証                                                            | [Codex App](https://developers.openai.com/codex/app) / [Codex CLI](https://developers.openai.com/codex/cli)                                      |
| Claude Code           | コード理解、思考、レビュー、別の視点                                                     | [公式サイト](https://claude.com/product/claude-code) / [GitHub](https://github.com/anthropics/claude-code)                                            |
| Multica               | Issue を軸にした複数 Agent の協働                                                | [公式サイト](https://www.multica.ai/) / [GitHub](https://github.com/multica-ai/multica)                                                               |
| Dia                   | 日常のブラウザ / 軽い調査                                                         | [公式サイト](https://www.diabrowser.com/)                                                                                                             |
| Google Chrome         | 自動検証用のブラウザ環境                                                           | [公式サイト](https://www.google.com/chrome/)                                                                                                          |
| Playwright            | ブラウザ自動化とフロントエンド検証                                                      | [公式サイト](https://playwright.dev/) / [導入ドキュメント](https://playwright.dev/docs/intro)                                                                 |
| last30days            | 直近 30 日の公開議論の調査                                                        | [GitHub](https://github.com/mvanhorn/last30days-skill)                                                                                           |
| ChatGPT Deep Research | 複数資料を総合する調査                                                            | [OpenAI の紹介](https://openai.com/index/introducing-deep-research/) / [ヘルプ](https://help.openai.com/en/articles/10500283-deep-research-in-chatgpt) |
| Compound Engineering  | 計画 / 実行ワークフロー                                                          | [GitHub](https://github.com/everyinc/compound-engineering-plugin) / [紹介](https://every.to/guides/compound-engineering)                           |
| Superpowers           | TDD、debugging、review などの開発規律                                           | [GitHub](https://github.com/obra/Superpowers)                                                                                                    |
| Matt Pocock skills    | grill-with-docs、diagnosing-bugs、domain-modeling、codebase-design などのスキル | [GitHub](https://github.com/mattpocock/skills)                                                                                                   |
| Ghostty               | ターミナルの入り口                                                              | [公式サイト](https://ghostty.org/)                                                                                                                    |
| cmux                  | 複数 Agent を並行稼働するターミナル作業環境                                              | [公式サイト](https://cmux.com/) / [GitHub](https://github.com/manaflow-ai/cmux)                                                                       |
| CodexBar              | Codex、Claude Code、Antigravity などの利用枠管理                                 | [公式サイト](https://codexbar.app/) / [GitHub](https://github.com/steipete/CodexBar)                                                                  |
| Google Antigravity    | Agent-first IDE / 開発プラットフォーム                                           | [公式サイト](https://antigravity.google/) / [ダウンロード](https://antigravity.google/download)                                                             |
| Recordly              | 製品・プロトタイプを外部に見せるための録画                                                  | [公式サイト](https://recordly.dev/) / [GitHub](https://github.com/webadderallorg/recordly)                                                            |
